山茶花(サザンカ)は、秋の終わりから冬にかけての寒い時期に可愛らしい花を咲かせる樹木です。
剪定時期と方法など育て方のポイント、山茶花と椿の違い・見分け方についてまとめました。
山茶花(サザンカ)の特徴と種類
山茶花は日本原産、ツバキ科の耐寒性常緑低木です。
もともとは一重咲きの白い花でした。
江戸時代の初めごろから八重咲きや桃色や赤色など華やかな園芸品種が作られるようになりました。
江戸時代にヨーロッパへ広まり、英語名は日本語と同じ「sazanqua(サザンカ)」です。
種類は「サザンカ系」「カンツバキ系」「ハルサザンカ系」に分けられます。
・サザンカ系の品種「桜月夜」「七福神」「丁字車」
・カンツバキ系の品種「獅子頭」「富士の峰」「朝倉」
・ハルサザンカ系の品種「鎌倉絞」「笑顔」
日本の比較的温暖な地域に自生する樹木で古くから庭木や生垣として利用されてきました。
耐寒性はありますがツバキよりは寒さに弱いです。
北日本では、戸外で育てると花がつかないといわれています。
寒い地域では鉢植えで育てるとよいでしょう。
山茶花と椿の違い・見分け方
山茶花と椿はどちらも同じツバキ科ツバキ属の植物。
色も形も似ていて、ほとんど同じように見えますね。
見分けるポイントは次のとおり。
①開花時期
山茶花は10~2月に開花します。
椿は12~4月に開花します。
②花の散り方
山茶花は、花びらが1枚ずつ散っていきます。
椿は、花びらが全部付いたまま落ちます。
③葉
【大きさ】
山茶花の葉は3~7cm。
椿の葉は5~12cm。
山茶花の方が一回り小ぶりです。
【葉の表面】
山茶花の葉の表面に艶はありません。
椿の葉の表面はワックスがかかったように艶々としています。
【葉のふち】
葉のふちのギザギザ(鋸歯)でも見分けることができます。
山茶花は椿に比べてギザギザが深いです。
【葉の裏側の毛】
山茶花は、裏返すと葉脈に沿って毛が生えています。
椿は裏返してもほとんど毛がありません。
【葉脈】
山茶花の葉脈は太陽にかざしてみると黒く見えます。
椿の葉脈は白く見えます。
山茶花の育て方
日向でも日陰でも育ちますが、日当たりが良い方が花つきが良くなります。
植え付け
早春と晩秋が適期。
有機質に富んだ肥沃な水はけの良い土地を好みます。
植え付ける場所には腐葉土や堆肥をたっぷりとすき込んでおきましょう。
苗木は根鉢を崩さないように植え付けたら支柱を立てます。
水やり
植え付け後はたっぷりと水やりします。
山茶花は夏に水切れして乾燥させてしまうとツボミが乾燥して死んでしまい、花が咲かないことがあります。
・西日が照りつけて良く乾く場所
・風の通り道
などは乾燥しやすいので注意しましょう。
乾燥を防ぐために株元にワラをしいておくとよいです(マルチング)。
また、真夏には水やりを忘れないようにすることも大切です。
肥料
11月と5月ごろに置き肥を施します。
害虫
チャドクガというガの幼虫(毛虫)が発生します(主に5月と9月の年2回)。
幼虫、成虫ともに肌に触れると(人によっては近づいただけでも)かぶれたり発疹が出ることがあるため注意が必要です。
チャドクガが発生したらスミチオン乳剤を散布して駆除します。
山茶花の剪定時期と方法
剪定しなくても、ある程度、自然に樹形がまとまり花が咲きます。
・混みあった部分の枝の間引き
・突出して伸び出た枝を樹形に合わせて切り詰める
特に問題なければ、この程度に軽く切るだけで充分です。
ただし、枝を切る時期には気をつけてください。
山茶花は新しく伸びた枝の先端に7~8月に花芽を付けます。
放っておくと花の咲く位置が毎年少しずつ高くなってしまうのです。
毎年、同じ高さで花を咲かせようと思ったら剪定は3~4月に行いましょう。
開花前や開花中の株は、花が咲き終わってからでもかまいません。
ツバキより枝が密生するので、この時期なら刈り込みもできます。
さいごに
この記事では、山茶花(サザンカ)の特徴、椿の違い・見分け方、剪定など育て方のポイントについて調べたことをまとめました。
山茶花は庭木や生け垣、童謡「たきび」でもお馴染みの樹木です。
ただ、寒冷地では鉢植えで栽培するのが一般的。
寒い時期に花を楽しみたいと思ったら山茶花の鉢植えを選ぶのもよいかもしれませんね。