フジ(藤)は春になると美しい紫色の花を咲かせる植物です。
来年も花を咲かせるための剪定時期・方法など育て方のポイントを紹介します。
フジ(藤)の特徴
マメ科の落葉のツル性木本です。
ほかのものに絡みついて伸びていく性質があり、長いツルで巻きついて高い木などによじ登ります。
ツルは上から見て右巻です。
4月から5月頃にかけて、紫色の花を咲かせます。
房のように長く垂れ下がるのが特徴で花房は長さ30cmを越え、時に80cm近くになることもあります。
花後にできる果実は長さ15~18cmの鞘(さや)で、短毛が密生します。
熟す前の鞘(さや)は緑色で触ってみるとビロードのようななめらかな手ざわりがあります。
熟すと果皮は堅く茶色になり10~11月に裂開して中の種子を飛ばします。
⇒ フジ(藤)の実のはじける音にビックリ!音がする理由とは?
秋になると葉は落ちてツルだけの状態になります。
古事記の中に記述があり万葉集でも詠われているなど古くから日本人に親しまれてきた植物です。
主な品種
日本に自生する藤の仲間はフジ(別名ノダフジ)と近畿以西に自生するヤマフジの二種。どちらも日本特産です。
ノダフジは花穂が長いという特徴があります。
一方、ヤマフジは花穂は短いですが、ひとつひとつの花は大きく花色が濃いです。
ノダフジのツルは上から見て右巻なのに対して、ヤマフジはツルが上から見て左巻という違いがあります。
【園芸品種】
花が白色のシロバナフジ
淡紅白色のアケボノフジ
淡紅色のモモイロフジ
花序が1メートル以上になるノダナガフジ
紫色で八重咲きのヤエフジ
フジ(藤)の育て方
日当たりの良い場所で育てましょう。
株元は日陰でもツルが伸びる部分が日当たりなら花は咲きます。
用土は水はけがよければ土質は選びません。
フジの花を来年もたくさん咲かせるには花後の手入れが大切です。
実がつくと養分が取られるので、花がらは摘み取ります。
種まき、挿し木、とり木で増やすことができます。
水やり
庭植えの場合は特に必要ありません。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いてから、たっぷりと与えます。
肥料
寒肥として油かすと堆肥などの有機質肥料を与えます。
花後に化成肥料を与えます。
フジ(藤)の剪定時期と方法
剪定を行う時期は、花後と冬です。
花後の剪定は余分な枝を取り除き内側まで十分に日光が入るようにします。
冬の剪定は11月中旬以降から3月までに行います。
花芽を残しながら不要なツルや枝を整理します。
花芽は葉芽よりも大きくふっくらとしています。
花芽と葉芽を見極めるのに自信がないときは慣れるまで冬の剪定は控えめにしたほうがよいかもしれません。
フジ(藤)の花が咲かない理由
藤の花が咲かない理由は剪定で花芽を切ってしまったということが考えられます。
ツルがどんどん長く伸びるので邪魔になってすぐに切ってしまいたくなることがありますよね。
しかし、ツルを切るのは花後1回だけにしてその他には冬に花芽を残して切り詰める程度にしたほうがよいでしょう。
また、鉢で育てていた株を地植えにすると花が咲かないことがあります。
これは、木の成長に勢いが向かったため花をつけなくなった可能性があります。
この場合には、大きく成長すると再び花をたくさんつけるようになるのでしばらく様子をみるとよいでしょう。
フジの花とクマバチの関係
毎年、春になると我が家の庭に大きなハチが1~2匹やってきます。
あちこち飛び回るのではなくホバリング(空中停止)しているのが、普通のハチとは違うところ。
黒っぽくて「ブーン」と大きな音を立てるのが怖いですね。
安心して庭仕事ができず困っていました。
その正体がクマバチであること、隣家で咲いているフジの花が目的であることを知ったのは最近のことです。
クマバチとは
クマバチはミツバチ科のハチです。
見た目の特徴は次のとおり。
・体の大きさは2~3cm前後
・ずんぐりとした体型
・全体的に黒い色をしているが胸部の毛は黄色。体毛が多い。
漢字で書くと「熊蜂」。黒くて体毛が多く大きいことから名づけられたそうです。
クマンバチとも呼ばれることもあります。
体が大きいだけでなく羽音も大きいので近くで飛ばれると攻撃されるかも?と心配になりますよね。
しかし、性格はいたって温厚なのだとか。
基本的におとなしく、こちらから刺激を与えないかぎり刺したりしないそうです。
ミツバチやスズメバチと違い単独行動が多いので仲間のために人間を刺してくることもありません。
ちなみに、オスのハチには刺し針がなく、刺すのはメスのハチだけです。
クマバチはフジの花蜜を食べにやってくる
主食は花の蜜や花粉。
特にフジの花を好み、フジを植えているところにはクマバチがやってくることが多いそうです。
クマバチがフジの花を好むのには理由があります。
フジの花は細長い形で、おしべとめしべが手前にあり、ミツは一番奥にあります。
花はとても固い構造で、クマバチの強い力でないと、こじ開けてミツを吸うことはできません。
そしてクマバチがミツを吸おうとすると体に花粉が付く仕組みになっています。
・クマバチはミツを吸うことができる
・フジの花はクマバチのおかげで受粉できる
という、お互いにとって得のある良い関係というわけですね。
クマバチを見かけたら
ホバリングしているのは全てオス。メスを待っているのだそうです。
オスだから針もありません。
見かけたら、むやみに怖がって追い払おうとするのはやめましょう。
何もしないで放っておき、いなくなるの待つのが一番です。
さいごに【栽培記録 追記】
近所の庭にあるフジは藤棚ではなく木に直接からませるようにして植えられています。
毎年、はじけたフジの実が我が家の庭にも飛んできて思いがけないところから芽を出していることも、しばしばです。
こんなふうに防草シートの隙間から発芽していることも…。
翌年(2019年)、庭の空いた場所に植え付けてみました。
植え付けた場所の日当たりが悪かったので、その翌年(2020年)の春に掘り上げて鉢植えにしました。
1週間ほど明るい日陰に置き、その後は日当たりの良い場所に移動。
1年後(2021年9月)。葉ばかり茂って花は咲きませんでした。
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