イチイ(一位)は秋になると可愛らしい赤い実をつける樹木です。
庭木や生垣、街路樹に利用されたり、盆栽で楽しんだりされますね。
今回は、イチイの木の特徴と剪定時期・方法など育て方のポイントをまとめました。
実生苗の栽培記録も紹介します。
イチイの木の特徴
イチイは北半球の温帯からマレーシア西部、メキシコが原産のイチイ科の常緑針葉樹です。
日本では、九州南部と沖縄を除いた地域に自生しています。
「一位」という名前は、仁徳天皇にこの木で作られた笏(シャク)を献上した際、他の材のものより美しく質が良かったため、最高位である「正一位」を授けたことに由来するといわれています。
別名、オンコ、アララギとも呼ばれます。
樹高:2~18m
雄の木と雌の木があり、3月~4月になると葉の付け根あたりから花を咲かせます。
雌花は受粉すると、種子を包む「仮種皮」と呼ばれる部分がふくらみます。
秋に赤く熟した果実は甘さがあって食べられます。
寿命が長く、生長スピードがゆっくりなので盆栽にも適しています。
寒さに強く、寒冷地では庭木や垣根として広く利用されています。
一方、暖かい地域では生育が悪く移植も難しいといわれています。
イチイの毒について
イチイの実は食べるとわずかに甘味があって美味しいです。
ただし、種にはアルカロイド系のタキシンという毒が含まれています。
種を噛んだり飲み込んではいけません。必ず吐き出してください。
実以外の全ての部分に毒があるので葉や茎、樹皮にも注意が必要です。
ペットが噛んでしまうこともあるかもしれません。
小さなお子さんやペットがいるご家庭では気をつけてください。
イチイの木の育て方
苗を購入したら、水はけが良く有機質に富んだ土に植え込みます。
植え付けの適期は3月下旬から梅雨にかけての期間と10月から11月上旬です。
移植はできるだけ避けたほうがよいのですが、必要ならこの時期に行います。
さし木、とり木、種蒔きで増やすことができます。
注意する病害虫は特にありません。
水やり
鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
庭植えの場合、植えつけてから2年未満の株は土の表面が乾いたらたっぷりと与えましょう。
2年以上たつ株は、特に水やりの必要はありません。
肥料
鉢植えは3月に化成肥料を株元に追肥します。
庭植えは2月ごろに寒肥として有機質肥料を株元の周辺に埋めておけば、そのほかは必要ありません。
イチイの木の剪定時期・方法
新芽が出る前の3月から5月か、実がなった後の秋に行います。
自然の樹形も楽しめますが、整った樹形を楽しみたい場合は最低1年に1回は剪定したほうがよいです。
刈り込んでも芽が出るので不要枝や徒長枝は早めに剪定をするとよいでしょう。
樹形を維持するための刈り込みは、新梢が固まる7月と、11月~芽吹き前の3月の年2回行うと枝が密生してきれいになります。
ただし関東より西の暖かい地域では生育が遅く刈り込むとなかなか戻らないといわれています。
剪定は控えた方がよいでしょう。
イチイの実生苗 栽培記録【2018年~】
2018年、花壇にイチイが芽を出しました。
いったい、どこからやってきたのでしょう?
とりあえず、庭植えのまま様子をみることにしました。
2度の冬を越し10cmほどに生長したので、2020年5月、鉢上げしました。
用土は、山野草用の培養土を使用。
2021年5月上旬
2021年5月中旬
2022年5月中旬
2023年11月中旬。
初夏に枝を刈りこんだので前年より小さくなった。
11月以降、寒さのせいか葉色がくすんでいるように見える。
さいごに
イチイの木の特徴と剪定時期・方法など育て方のポイントをまとめました。
青森県に住んでいるのでイチイは身近な庭木。「オンコの木」と呼ばれることも多いですね。
子供のころはイチイの熟した赤い実をつまんで食べるのが楽しかったものです。
近所に樹高が2階の屋根くらいまであるイチイがあります。
あそこまで大きくなると剪定など手入れが大変そう。
自宅で育てるなら鉢植えで小さく育てて赤い実を楽しみたいですね。
と思っていたら予想外のところから芽がでて育てることになりました。
寿命が長い木だそうですから、ゆっくり成長を見守っていきたいと思っています。
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