シクラメンは冬を代表する花のひとつ。花の少ない季節に欠かせません。
冬から春にかけて花を長く楽しむためのコツ、もう一度花を咲かせるための夏越し方法について調べたことをまとめました。
失敗続きの夏越しを成功させた栽培記録も書いています。
シクラメンの特徴
シクラメンは、サクラソウ科シクラメン属の植物です。
草丈:10~25cm
開花期:10月下旬~4月下旬頃
原産地:中海沿岸、北アフリカ~中近東
花は下向きに咲きますが5枚の花びらが上にそりかえるのが特徴。
このような咲き方をしているのは
「原産地では開花時期に雨が多いため花粉を雨に濡らさないため」
という理由だそうです。
出典:所さんの目がテン!ライブラリー
・球根では増えない
・種まきで育てる
球根植物として知られていますが、実は、球根部分は茎が肥大化して球根状になったもの。
一般的な球根植物のように球根が分かれて増えることはありません。
何年育てていても球根全体が大きくなるだけです。
「ビクトリア」は代表的な品種のひとつ。
【特徴】
・花びらのふちがフリルになっている(フリンジ咲き)
・花びらのふちが異なる色で縁取りされている(覆輪/フクリン)
開花中のシクラメン/冬の管理
【生育サイクル】
・秋から春にかけて花を咲かせる
・夏に休眠する
シクラメンを長く楽しむために原産地の気候を知っておきましょう。
【地中海性気候の特徴】
・夏は雨が少なく乾燥
・冬は雨が多く湿潤で温暖
【日本の気候(東京の場合)】
・夏は雨が多く気温も高いので蒸し暑い
・冬は乾燥している
夏越しがむずかしいといわれるのは日本の高温多湿が苦手なことが影響しているようです。
一般に、開花鉢を購入して育てます。
※花と葉の数は同じなので葉の数が多いものを選びましょう。
置き場所
・日当たりの良い場所
・涼しい場所(最適な温度は10~20℃)
日中は、日当たりの良い窓辺で暖房のない場所が適しています。
ただし、夜間の窓辺は冷えるので夜になったら部屋の中央など暖かい場所に置いてください。
日が当たらない場所に置き続けるとツボミが開かなくなるので注意が必要です。
2~3日に1回は日光に当てましょう。
毎日多少でも日の当たる場合は、特別光の当たる場所に置かなくても花は咲き続けます。
リビングに置いて楽しみたい場合、暖房器具の近くやエアコンの温風が直接当たる場所は避けましょう。
暖かすぎたり乾燥すると
・花が傷む
・ツボミが枯れる
・葉の色が黄色くなる
ことがあります。
水やり
冬の間の水やりは、3~4日に1回が目安。
暖房の効いた部屋では乾燥しやすくなるため水切れには注意しましょう。
水切れを起こすと花茎や葉がだらしなく垂れてしまいます。
さらに水分不足になると花芽が上がってこなくなります。
しおれ気味になったら午前中にたっぷりと水を与えましょう。
鉢受け皿にたまった水は、そのままにしておくと根腐れの原因になるので捨てます。
水の与え方は、葉を手で押しのけて鉢の縁から静かに注ぐようにします。
葉や花、球根にかからないように注意してください。
水がかかると、灰色かび病などの病気になったり、球根が腐ってしまうことがあります。
花がら摘み
咲き終わると種をつけようとするため株が疲れてしまい花つきが悪くなります。
花がらはこまめに摘み取りましょう。
手で付け根に近い部分をつまみ、軽くねじるようにして引っ張りあげて取ります。
ポイントは根元から茎の部分を残さず取ること。
途中でちぎれた茎を、そのままにしておくのはよくありません。
残った茎が腐り病気になることがあります。
12月28日。開花中の株元。
茎が枯れたことに気がつかず放置。カビが生えてしまったようです。
肥料
買ってきたばかりのシクラメンの鉢植えは十分に肥料が与えてあります。
1ヶ月くらい経ってから与えるようにしましょう。
液肥を7~10日に1回のペースで定期的に与えます。
肥料不足になると花が小さくなったりツボミが最後まで咲ききらなくなります。
シクラメンの花後の管理/夏越し
夏越しには休眠法と非休眠法の2つの方法があります。
休眠法
花が咲き終わったら徐々に、水やりの回数を減らしていきます。
温度が上がってくると葉が黄色になって枯れ、やがて球根だけになります。
このような状態が休眠状態です。
夏の間は雨が当たらず風通しのよい日陰に置きましょう。
水や肥料はいりません。
9月になると、休眠から覚めて新芽が伸び始めるので植え替えをします。
シクラメン専用の土を使うと簡単。市販の鉢花・草花用培養土を使っても大丈夫です。
自分で配合するときは、赤玉土の小粒と腐葉土を7:3くらいの割合で混ぜたものを使用します。
この場合は、元肥として緩効性化成肥料を加えましょう。
植木鉢は、現在植えてある鉢よりも一回り大きな鉢を使用します。
球根を鉢から抜き取ったら土を完全に取り除きましょう。
土の中に埋まらないよう浅めに植えます(球根の3分の1は土の上に出た状態)。
その後は、たっぷりと水を与えましょう。
葉が出始めたら日の当たる場所に移動させます。
徐々に水やりを多くし、肥料も与えるようにします。
花が咲くのは1~2月です。非休眠法に比べると1ヶ月ほど遅れます。
非休眠法
水やりと肥料を与え続け、生育させながら夏を越す方法です。
※葉が枯れてしまったら休眠法に切り替えて夏越ししてもかまいません。
夏の間は休眠法と同じように雨が当たらず風通しのよい日陰に置きましょう。
水やりは控え目にします。土が乾いたらさらに1日待ってから水やりするくらいがよいでしょう。
肥料は、水やりを兼ねて月に1回、液肥1000~2000倍液を与えます。
古い葉は黄色くなって枯れるので取り除きましょう。
9月に入ったら植え替えをします。
休眠法と違い、球根についている土は全て取り除く必要はありません。軽く落とす程度にします。
浅めに植え付けてから、たっぷりと水やりするのは休眠法と同じです。
2~3日半日陰で管理してから日当たりの良い場所に移動させます。
シクラメン栽培中のトラブルについて
我が家で栽培中に実際に起きたトラブルについてまとめました。
しおれる
考えられる原因は温度と水切れです。
最適な温度は10~20℃。暑すぎたり寒すぎたりすると、しおれることがあります。
人間にとって過ごしやすい温度(25℃程度)はシクラメンにとっては少し暑すぎます。
暖房が効いた部屋の中では置き場所に注意しましょう。
逆に、寒すぎる場合も対策が必要です。
寒波がやってきて冷え込みが厳しくなる時はダンボール箱やビニール袋をかぶせるなどして寒さを防ぎます。
気温が頻繁に変わる場所も好ましくありません。
昼と夜の置き場所を変えて気温変化が大きくならないように工夫しましょう。
【水切れの場合】
茎をまっすぐに起こして鉢ごと新聞紙で包みましょう。
水が入った深めのバケツに、新聞紙ごとつけ込みます。
1時間ほどで、葉が上を向いて元気な姿に戻ります。
葉に白い粉がつく
花粉、害虫、病気の3つが原因として考えられます。
【花粉】
花が下向きに咲くので葉に花粉が付くことがあります。
そのままにしておいても特に問題はありません。
気になる場合は葉の表面を軽くふいて取り除くとよいでしょう。
【害虫】
スリップスやホコリダニなどの害虫が発生した時に白い粉状のものが出ることがあります。
葉の裏や茎に虫が見つかったら適応する薬剤を散布して対処します。
【病気】
白い粉が粉っぽい感じがする時は「うどんこ病」かもしれません。
うどんこ病の場合、白い粉の原因はカビ(糸状菌)。放っておくと葉全体が白くなっていきます。
白くなった部分は光合成が出来なくなり葉や茎が黄色くなることもあります。
葉や花びらが茶色になる
茶色になって枯れていくのは「灰色かび病」かもしれません。
枯れた部分にも病原菌が残っているのでシミのついた花やカビた葉は全て取り除きます。
薬剤を定期的に散布して予防するとよいでしょう。
シクラメンの栽培記録【2005~2010年】
※育てているところ:東北地方北部
2005年ころからお歳暮でもらったり家族が買ってきたりして育てたことがあります。
当時は、冬の間、咲かせ続けることさえできませんでした。
そのうえ、翌年の夏に枯らしてしまう状態も続きました。
・球根が干からびたまま新芽がでない
・水やりをしたら腐ってしまった
という状況です。
手間がかからないという理由から休眠法で夏越しさせようとしていました。
非休眠法で成功
2008年、非休眠法を試してみました。
・花後、通常通りに水やり。緩効性固形肥料を与える
・屋内で管理(明るいけれども直射日光は当たらない場所)
・春から夏にかけて2~3枚くらい葉が黄色くなって枯れる
・その後は、枯れる葉もなく変化なし
・7月中旬、球根の中心部から新しい葉が出る
初めて夏越しに成功しました。
徒長する
茎が徒長して葉が鉢からはみ出し、下に垂れ下がってしまいました。
夏越し後も室内に置いていたため日光不足になったことが原因です。
徒長した株を回復させるには最低でも4~5時間ぐらいの日照時間がいるとか。
屋外の日に当たる場所へ移動させたら2週間ほどで新しい元気な葉がたくさん出てきました。
その後、徒長した葉はすべて黄色になって枯れてしまいました。
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植え替えをする
9月中旬、植え替えをしました。
用土は赤玉土と腐葉土を混ぜたものを使用。
水やりをして半日陰に置き、3日くらい経ったら再び日の当たる場所へ移動。
9月下旬、ツボミが出来ていました。
花が咲き始める
約1ヶ月後の10月24日に開花。
咲き終わりは翌年(2009年)5月19日。約半年間、咲き続けてくれました。
2009年9月:2度目の夏越しに成功。植え替え。12月に次々と開花。
2010年11月:3度目の夏越し後、新しく伸びた葉が茶色になって枯れる。
2010年12月:枯れる。原因不明(球根は硬くてしっかりしている)
さいごに
シクラメンの特徴と冬の管理、夏越しについて調べたことをまとめました。
夏越しも失敗続き。
「寒冷地では夏の気温が低いので休眠させないほうが夏越ししやすい」
ということを知ったのは、はじめて夏越しに成功した後でした。
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