秋になるとカエデやイチョウなどの落葉樹の葉は赤や黄色に変わります。
どうして葉が落ちる前に色が変わるのでしょう。
常緑樹の葉も落葉する前に色が変わるのかも気になります。
樹木の紅葉のしくみについて調べたことをまとめました。
緑の葉が色づくしくみ/紅葉と黄葉
秋になると落葉樹の葉はさまざまな色に染まります。
赤色に変わるのを「紅葉(こうよう)」
黄色に変わるのを「黄葉(こうよう、おうよう)」
変化した色によって、このように呼ぶこともあります。
しかし、明確な区別がむずかしいので紅葉と呼ぶのが一般的だそうです。
葉が緑色に見えるのは緑の光が反射されるから
そもそも、なぜ植物の葉は緑色に見えるのでしょうか?
理由は
「緑の光は吸収されにくく、反射したり、通り抜けたりするから」
しかし、太陽の光は無色透明、色がついているようには感じません。
緑の光はどこにあるのでしょう?
・太陽光にはたくさんの色の光が含まれていることが分かる
・赤、青、緑の3色を組み合わせると、ほぼすべての色の光を作り出すことができる(光の3原色)
・太陽光は大きく「赤」「青」「緑」の3つに分けることができる
※色を感じない光のことを「白色光」という。太陽光は白色光
色が見えるしくみ
・太陽の光が物体に当たる
・物体に当たった光は特定の色の光を吸収したり、別の色の光を反射したりする
・反射された光が目に届くと、その物体の色が見える
植物細胞の中にある葉緑体にはクロロフィル(葉緑素)という色素が含まれています。
クロロフィルは「赤」「青」「緑」のうち、おもに赤と青の光を吸収。
緑の光はほとんど吸収されず反射されてしまいます。
その反射された緑の光が目に届くことで、葉は緑色に見えるのです。
(葉を下から見ても緑に見えるのは緑の光の一部は反射しないで通り抜けてくるから)
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黄葉するのはクロロフィルがなくなるから
もともと、葉緑体にはカロテノイドと呼ばれる黄色の色素が含まれています。
しかし、春から夏にかけては緑色の色素であるクロロフィルの量が多いため、黄色は見えません。
冬が近づき気温が低くなるとクロロフィルとカロテノイドは分解されてなくなっていきます。
ただ、クロロフィルのほうが先に分解されるので黄色の色素が目立つようになります。
紅葉するのはアントシアニンが作られるから
葉が赤くなるのはアントシアニンという赤色の色素によるものです。
アントシアンは春から夏にかけての葉には存在しません。
秋になりクロロフィルとカロテノイドが分解されるころに新たに作られます。
クロロフィルよりアントシアンの量が多くなるため葉が赤く見えるようになります。
緑の色素クロロフィルがなくなり、赤い色素アントシアニンが増えることが必要です。
①夜間の急激な冷え込み
クロロフィルが分解されてなくなる
②日光がよく当たる
アントシアニンは光が当たることで作られる
③適度な湿度
乾燥しすぎると葉が枯れてしまう
落葉する前にアントシアニンが作られる理由は完全に分かっていません。
ただ、アントシアニンは抗酸化物質。
紫外線が当たって生み出される活性酸素の害を消す働きをします。
そのため、日差しが弱くなる冬までの間、次の春に芽吹く芽を紫外線から守っていると考えられているようです。
出典:植物の生きる「しくみ」にまつわる66題 はじまりの季節から終活まで、クイズで納得の生き方 (サイエンス・アイ新書) [ 田中 修 ]
【褐葉(かつよう)について】
褐葉とは黒みがかった茶色の葉のこと。褐色(かっしょく)=こげ茶色。
褐色に変化する樹木にはブナ、ケヤキ、トチノキなどがあります。
褐葉の原理
黄葉と同じ原理であるが、タンニン性の物質(主にカテコール系タンニン、クロロゲン酸)や、それが複雑に酸化重合したフロバフェンと総称される褐色物質の蓄積が目立つためとされる。
出典:紅葉/ウィキペディア
常緑樹も紅葉・黄葉、落葉する?
常緑樹とは、マツ、スギ、サザンカなどのように一年をとおして葉がついている樹木のこと。
常に緑の葉がついているようにみえます。
落葉することはないのでしょうか?
落葉樹:春から秋の半年程度。秋にすべての葉を落とす。
常緑樹:一般的に2年から5年(日本の場合)。
春に新しい葉が出るときに入れ替わるように古い葉を落とすものが多い。
新しい葉と古い葉が混在しているので常に緑に見える。
葉の寿命が長い常緑樹の場合、落葉は次のようなタイプに分けられます。
・春に、新葉と入れ替わりに古い葉が落ちる
・春から秋にかけて、新葉と古い葉が少しずつ入れ替わる
・葉が出てから、2~3年たったら順番に落ちていく
「落葉する前に紅葉するのか?」
という疑問については以下のサイトが参考になりました。
落葉する葉の色に関しては、マツ・スギ・ヒノキなどの針葉樹の場合には、カエデの紅葉を連想させるような紅色や黄色などの鮮やかな色彩となる場合は少なく、地味な褐色系の色を呈する場合が多いように見受けられます。
①ツバキ
春、花が咲き終わったころになると黄色くなった葉がたくさん落ちます。
長い間、理由が分からず「病気かな?」と思ったこともありました。
黄色になったのは寿命が尽きた古い葉だったわけです。
②ナンテン
冬の間、すべての葉が紅葉。
春から初夏にかけて緑色に戻りますが紅葉した葉の一部は落ちて新葉が出てきます。
詳しくはこちら ⇒ ナンテン(南天)の特徴と育て方【栽培記録】
さいごに/ケヤキの紅葉・黄葉・褐葉について
落葉樹や常緑樹の紅葉、落葉のしくみをまとめてみました。
きっかけは、近所にあるケヤキの街路樹の紅葉。
モミジは赤、イチョウは黄色というように、紅葉は木の種類で色が決まっているのが一般的。
しかし、ケヤキは、紅葉する木と黄葉する木、褐葉する木とそれぞれの木で色づきが違います。
・同じ木でも年によって色づきが変わるのか?
・赤くなる木と黄色になる木が決まっているのか?
ふと、そんな疑問がでてきたので調べてみたというわけです。
結局、理由は分からずじまいでしたが…。
紅葉についていろいろ知ることができて面白かったです。
また、いろいろと調べているうちに、
・どうして葉は緑色に見えるのか?
・どうして落葉前に色が変わるのか?
という疑問も。
葉が緑色に見えるのはクロロフィルが含まれるからということですが、
・カラーリーフにはクロロフィルが含まれていないのか?
・カラーリーフはどうやって光合成をしているのか?
ということも気になります。
庭仕事のない冬の間に調べて追記できたらいいなぁと思ってます。
ちなみに、個人的にアントシアニンといえば目のサプリメントのイメージが強い成分。
植物が紫外線対策をするために作っているという説を知ってハッとさせられました。
「植物由来の成分」という言葉をよく聞くのですが、植物がその成分を作る理由を考えたことがなかったんですね。
植物が自分の体を守るために作っている物質を人間が利用させてもらっている。
ありがたいことですね。
参考サイト
色の見え方と表現方法 | コニカミノルタ
紅葉のしくみ | キヤノンサイエンスラボ・キッズ | キヤノングローバル
花の色素の抗酸化作用 | 日本植物生理学会