アセビ(馬酔木)は万葉の時代から親しまれてきた植物のひとつ。
早春にスズランに似た小花を房のように咲かせます。
アセビの特徴と育て方について調べたことをまとめました。
アセビ(馬酔木)の特徴
アセビはツツジ科の常緑低木です。
原産地は日本で、本州、四国、九州に自生しています。
樹高:1~3m
開花期:2~5月
花色:白、赤、ピンク
枝先から垂れ下がるように花をつけ、満開時期は花が木をおおうように咲きそろいます。
赤みのある新芽も、花と同じくらい美しいです。
花が咲き終わると実をつけます。
実が熟す頃になると、翌年に向けたツボミができます。
半日陰でも育つので日本庭園の下草や垣根にも利用されます。
【有毒植物】
花・葉・枝と全草に毒が含まれています。
馬が食べると神経が麻痺して酔ったようにフラフラとした足取りになることから「馬酔木」という漢字名が付けられたとされます。
ちなみに、奈良公園に多くのアセビがみられるのは毒のある葉を鹿が食べないためだそうです。
【万葉植物】
万葉植物とは万葉集の中に詠まれている植物のこと。
万葉集にはアセビの別名である「アシビ」として10首の歌が詠まれています。
俳句では「馬酔木の花」が春の季語になっています。
アセビ(馬酔木)の育て方
日陰でも育ちますが、花数は少なくなります。
午前中の3~4時間ほど日が当たる明るい場所(半日陰)、あるいは木漏れ日が当たる場所がよいでしょう。
水やり
地植えの場合は特に必要ありません。
鉢植えの場合は、土が乾いたらたっぷりと与えます。
花がら摘み
咲き終わった花をそのままつけておくと、実をつけるために栄養がとられて株全体が弱ります。
花がら摘みをして実をつけないようにします。
やり方は、花穂をつけ根(花茎の元)から切り取ればOKです。
花芽は新しい枝の先端にできるので、花つきもよくなります。
肥料
年に2回、緩効性化成肥料を与えます。
・花後の3月下旬~4月上旬
・9月下旬~10月下旬
病害虫
風通しが悪いとハマキムシ、グンバイムシなどが発生することがあります。
病気は特にありません。
植え付け、植え替え
適期は、3~4月と10~12月上旬。
地植えは、腐葉土や元肥を混ぜてから深植えしないように植えつけます。
鉢植えは2年に1回を目安に植え替えます。
鉢から取り出したら根を1/3ほど整理して、一回り大きな鉢に植え替えます。
増やし方
挿し木で増やすのが一般的です。
6~7月に、その年に伸びた枝を切り、用土にさします。
アセビ(馬酔木)の剪定時期・方法
花が終わった直後の4~5月が適期です。
翌年の花芽は、夏以降、その年に伸びた枝の先端に作られます。
夏以降に剪定すると花が咲かなくなります。
花が咲き終わったら、できるだけ早い時期に行いましょう。
成長が遅く、自然に樹形が整うタイプなので剪定はそれほど必要ありません。
枯れ枝や重なり合った枝は根元から切る程度にします。
大きく飛び出した枝も切り落としておきましょう。
また、地ぎわから、勢いよく「ひこばえ(根元から生えてくる若芽)」が出ます。
ひこばえは養分を奪ってしまうので、見つけしだい切り取りましょう。
アセビと似た花、ドウダンツツジとの違い
アセビと同じようにスズランに似た小花を咲かせる樹木にはドウダンツツジがあります。
どちらも日本原産のツツジ科ですが開花時期や花姿などは違います。
【常緑性と落葉性】
アセビ:1年を通して葉が緑、冬になっても葉は落ちない
ドウダンツツジ:秋に紅葉、冬に葉が落ちる
【花姿】
アセビ:ブドウの果実のように房状につく
ドウダンツツジ:枝から、ぶら下がるようにつく
【開花時期】
アセビ:2~5月
ドウダンツツジ:3~6月
【日当たり】
アセビ:半日陰を好む、日陰でも育つ
ドウダンツツジ:日なた~半日陰で育つ
その他にも同じツツジ科でアセビやドウダンツツジに似た花をつけるものにはブルーベリーがあります。
関連記事
ドウダンツツジの剪定時期と方法!特徴と品種、育て方のポイントも紹介
ブルーベリーの種類・品種と育て方!剪定時期や方法は?
さいごに
アセビの特徴と育て方について書きました。
この植物のことを知ったのは学校の授業で「馬酔木」を詠んだ和歌を習ったときです。
馬が酔う木というのが興味深かったので覚えていましたが、当時は植物自体に関心はありませんでした。
自宅周辺で庭木を見かけることもなかったように思います。
北限は宮城県だとか。
↓ ↓ ↓
東北森林管理局/管内の樹木一覧
分布は、本州(宮城県以南、関東・中部地方の太平洋側および近畿・中国地方)・四国・九州。
ただ、アセビは寒さに強いので青森県でも育てることは可能だそうです。
案外、近所で育てている人もいるかもしれませんね。
ドウダンツツジの庭木がありますが、アセビも一緒に育ててみるのも楽しそうです。