ナンテン(南天)は縁起のよい木といわれ、お正月になると飾られることが多いですね。
紅葉しない、実がならないといったトラブルの原因と対策、育て方について調べたことをまとめました。
栽培記録も書いています。
ナンテンの特徴
ナンテンはメギ科の常緑低木。
日本では、西日本、四国、九州など暖かい地域に自生しています。
「ナンテン」⇒「難転」⇒「難を転じて福となす」
ということから、縁起のよい木として昔から親しまれてきました。
庭木、盆栽、正月の生け花、門松などに使われます。
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・春になると紅葉した葉が緑色に戻る
・夏前に、新葉が出て、寿命がきた古い葉が落ちる
(春ころに葉を落とすこともあるが夏前には新葉が出る)
・6~7月に花を咲かせる
・冬になると実が赤く色づき、紅葉する
(白い実の品種は黄葉)
成長速度は、やや遅く、実をつけるようになるまで時間がかかります。
常緑樹なので落葉樹のように葉がすべて落ちることはありません。長い期間、紅葉を楽しむことができます。
紅葉しない原因と対策
「日照不足」「気温」「肥料の与え過ぎ」「品種による違い」が原因として考えられます。
【日照不足】
日陰でも育ちますが、日当たりのよい場所のほうが紅葉します。
【気温】
寒さに当たるときれいに紅葉します。暖かい地域では紅葉しないことがあります。
【肥料】
秋以降に土の中に肥料分が残っていると色づきが悪くなります。
肥料を与えるのは春~夏の間だけにしたほうが、鮮やかに色づくそうです。
【品種による違い】
白い実がなるものは黄葉します。
実がならない原因と対策
「開花時期の長雨」「日照不足」「肥料の与え過ぎ」が原因として考えられます。
【開花時期の長雨】
花の咲く時期が梅雨と重なることが多いです。
雨の日が続くと、やってくる昆虫の数が少なくなって受粉が充分に行われないことがあります。
花の上にビニール袋などをかぶせて雨よけにしましょう。
完全におおってしまうと昆虫が来れないので気をつけてください。
花粉は水分(雨や朝露)が苦手なので軒下のほうが実のつきは良いです。
【日照不足】
日陰でも育ちますが、実つきをよくするには日当たりが良い場所を選ぶことが大切。
西日が当たらず、半日程度は日光が当たるところがよいでしょう。
【肥料の与え過ぎ】
窒素肥料を多く与えると枝や葉が成長するほうにばかり栄養が使われてしまい、花が咲きにくくなります。
栄養分が不足気味のほうが花つき、実つきがよいといわれています。
肥料を与えるのをやめるか、控えめにしましょう。
ナンテンの育て方
日当たり、または、半日陰(午前だけ日が当たる)の場所が適しています。
西日の当たる場所はひどく乾燥するので避けましょう。
寒さには比較的強く、北海道以外なら栽培が可能です。
鉢植えの場合、基本的に屋外の日当たりのよい場所に置きましょう。
冬の間は、土の凍らないところで管理します。
水やり
地植えの場合、特に必要ありません。
鉢植えの場合、土が乾いたらたっぷりと与えましょう。
肥料
もともと養分が少ない土でも育つ植物なので基本的に肥料なしでも育ちます。
植え付ける時や植え替えをする時に、有機肥料や化成肥料を与える程度でよいでしょう。
肥料を与え過ぎると枝ばかりが伸びてしまい、実つきが悪くなることがあります。
病害虫
モザイク病、葉枯病、すす病が発生することがあります。
また、初夏から秋にかけてカイガラムシが発生することがあります。
植え替え
適期は3~4月。目安は3年に1回くらい。
古土を2分の1くらい取り除き、根は3分の1程度切りつめます。
用土は赤玉土7:腐葉土3。
剪定
「株立ち」といって根元から複数本の細い幹が立ち上がる樹形をしています。
全体的にコンパクトにまとまるので毎年剪定する必要はありません。
・幹だけ伸びて下葉が落ちた
・細くて弱い枝がある
・大きくなりすぎたとき
このような場合に枝を切って樹形を整えます。
適期は3~4月。
【方法】
・古い枝、細くて弱い枝、混みあった枝を根元から切り取る
・幹の途中から伸びている枝は新しい枝を残し古い枝は切り取る
・1度実を付けた枝は、その後3年ほど実をつけないので、その枝も切り取る
ナンテンの栽培記録【鉢植え】
※栽培しているところ:東北地方北部
2021年11月上旬、ナンテンの盆栽を通販で購入。屋外に置きました。
【萬古焼丸鉢 (3号鉢)】
樹高:約20cm
11月中旬、寒くなったので室内に移動。
緑葉の鉢(イチイとクリスマスローズ)の間に置いてみました。
コケの緑を保つために12月から植物育成ライトを使用。
3日ほどたったら葉先が白くなってしまいました。
ライトが強すぎて葉焼けしたのかもしれません。
光量を弱くしました。
⇒【植物育成ライトの選び方】冬の日照不足による徒長を予防する方法!
2022年4月中旬。紅葉した葉の一部がカサカサになって枯れてきました。
霜の心配がなくなったので屋外へ。
根元のコケが黒っぽくなったり、乾燥して白っぽくなったりしています。
冬の間、植物育成ライトを使用した効果はなかったようです。
屋外で日当たりの良い場所においても変化なし。
ほとんど全部枯れてしまったのでコケを取り除きました。
2022年6月上旬。新しい葉が出て、紅葉から緑色に変わってきました。
2022年7月中旬。葉はきれいな緑色。
2022年8月下旬。
一回り大きい5号サイズの鉢に植え替え。
用土は、赤玉土小粒と腐葉土を混ぜたもの。
2022年9月上旬。
2022年12月上旬。
※2022~2023年の冬越し。
置き場所は暖房のない玄関(0~5℃)。株元にコケがないので植物育成ライトは使用しませんでした。
2023年12月下旬。紅葉しませんでした。秋に厳しい冷え込みがなかったことが影響しているのかもしれません。
さいごに
縁起のよいナンテンを育てることができれば正月花に利用できて便利。
というわけで、特徴や育て方について調べたことをまとめてみました。
2021年に鉢植えを購入しましたが、丈夫で手間がかからず育てやすい樹木です。
季節によって葉色が変化するようすが見られるのも楽しい。
ところで、
常緑樹なのに紅葉するのは不思議な気がします。
落葉樹の場合、紅葉したあと、すべての葉を落とし、春になると新葉が出てきます。
※ソメイヨシノが満開の頃のようす。葉色が変化してきました。
一方、ナンテンは葉を落とさず、春になると緑色に戻ります。
どちらも同じように紅葉しているように見えますが…。
実は、常緑樹と落葉樹では「仕組み」が違うのだとか。
落葉樹は「葉の老化」、常緑樹は「寒さによるストレス」が原因だそうです。
・ストレスを受けると葉にアントシアニンなどの色素が作られる
・葉は生きているのでクロロフィル(葉緑素)は分解されずに残っている
・暖かい春がやってくるとストレスはなくなり不要となったアントシアニンは分解される
・葉は緑色に戻る
ただ、
「葉が落ちないなら、なぜ、紅葉するのか?」という疑問がでてきました。
理由については以下のように考えられています。
赤い色素は紫外線を吸収する作用があり、光合成活動が低下している時期に過剰な光による組織への悪影響(光阻害)を防止する効果があると考えられている。
出典:ウィキペディア
しかし、詳しいことは分かっていないそうです。
※常緑樹の紅葉、落葉の仕組みはこちらの記事にも書いています
⇒【紅葉と黄葉】緑の葉が色づくしくみ
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参考サイト
日本植物生理学会